読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

経営学

『「能力」の生きづらさをほぐす』

「能力」の生きづらさをほぐす 作者:勅使川原真衣 どく社 Amazon よい本です。著者は教育社会学を学んだ組織開発コンサルタントの方だということで,ハイパーメリトクラシーとか人材開発業界(能力屋)とかの問題点を指摘した上で,個人の能力ではなくて,組…

Mann & Likert(1952)The Need for Research on the Communication of Research Results

https://www.jstor.org/stable/44124252 マン&リッカートのいわゆるサーベイフィードバック論文。ただ読んでみたら、ここでは「サーベイフィードバック」という名前は登場していないのね。一体誰が言い出したのやら…。 測定という技術によって、「態度」や…

『企業が求める〈主体性〉とは何か 教育と労働をつなぐ〈主体性〉言説の分析』

企業が求める〈主体性〉とは何か:教育と労働をつなぐ〈主体性〉言説の分析 作者:武藤 浩子 東信堂 Amazon 昨今、「主体性」という言葉はとにかくポジティブな価値を帯びたものとして、各方面でご都合主義的に多用されまくっているキラキラワードなので、私…

『制度複雑性のマネジメント:論理の錯綜と組織の対応』

制度複雑性のマネジメント: 論理の錯綜と組織の対応 作者:舟津 昌平 白桃書房 Amazon

『ジョブ・クラフティング 仕事の自律的再創造に向けた理論的・実践的アプローチ』

ジョブ・クラフティング: 仕事の自律的再創造に向けた理論的・実践的アプローチ 白桃書房 Amazon また更新が滞ってしまった。こちら,高尾先生よりご恵投いただきました。第7章に産業保健心理学の先生によるジョブ・クラフティングに依拠した介入のお話あり。

エドガー・シャイン,ご冥福をお祈りします

The Clinical Perspective in Fieldwork (Qualitative Research Methods) 作者:Schein, Edgar H. SAGE Publications, Inc Amazon 組織への臨床的アプローチについて論文を書こうと思って書けないでいるうちに,エド・シャインが亡くなったそうだ。私自身は,…

『世界のエリートもまだ知らない スピリチュアル経営術』

世界のエリートもまだ知らない スピリチュアル経営術: あなたのビジネスが上手く行かない本当の理由を教えよう 作者:棚田克彦 Amazon 職場スピリチュアリティの実例。ビジネスが上手くいかないのは戦略とか組織構造とか文化の問題として色々論じられているけ…

『経営者のこころ チェスター・バーナードとの対話』

経営者のこころ―チェスター・バーナードとの対話 (1978年) (日本バーナード協会シリーズ) 作者:W.B.ウォルフ 文真堂 Amazon ウォルフによるバーナードの死の2ヶ月前のインタビュー。バーナードによると、『経営者の役割』の元となったローウェル講義はほとん…

『日本の経営』

日本の経営 作者:尾高 邦雄 中央公論新社 Amazon 1965年の著作。内容的にも、経営の近代化・民主化(=従業員参画型経営の実現)に向けた提言の書ということで、新人間関係論とかなりオーバーラップする。で、仮想敵は、やはり、と言うべきか、ヒューマン・…

『組織行動論の考え方・使い方 良質のエビデンスを手にするために』

組織行動論の考え方・使い方 -- 良質のエビデンスを手にするために 作者:服部 泰宏 有斐閣 Amazon 服部さんの本。科学が実践に役立つとはどういうことかという問いに、組織行動論、そして、実証主義の立場から一つの答えを与える本。ざっくり言うと、(1)経…

『人間と経営 私たちはどこへ向かうのか』

人間と経営: 私たちはどこへ向かうのか (経営学史叢書第2期 3) 作者:上林 憲雄 文眞堂 Amazon 経営学史学会叢書、新シリーズのうちの一冊。経営学が「人間」なるものをどのように捉えてきたのかという観点から、テイラー、人間関係論、バーナード、ドラッカ…

『組織文化とリーダーシップ(第4版)』

組織文化とリーダーシップ 作者:E.H.シャイン,エドガー・H.シャイン 白桃書房 Amazon 『組織文化とリーダーシップ』については、以前も書いたけど(https://tsk1024.hatenablog.com/entry/2019/10/01/180133)、それは1985年の初版の邦訳で、こっちは2010年…

『組織の行動科学 ヒューマン・オーガニゼーションの管理と価値』

組織の行動科学―ヒューマン・オーガニゼーションの管理と価値 (1968年) 作者:三隅 二不二,R リッカート Amazon ここまできたら、ついでにこれもざっと読み直しておく。やはりこの1967年の著書が一番読みやすい。と言っても、基本的にこのリッカートという人…

『経営の行動科学 新しいマネジメントの探求』

経営の行動科学―新しいマネジメントの探求 (1964年) 作者:R. リッカート Amazon 1976年の著作を読んだついでに、この1961年の著作もざっとふりかえり。まあ合わせて読んでみると、リッカートの議論の原型はほぼこの『経営の行動科学』で出揃っているのがわか…

『コンフリクトの行動科学 対立管理の新しいアプローチ』

コンフリクトの行動科学―対立管理の新しいアプローチ 作者:リッカート,R.,リッカート,J.G. ダイヤモンド社 Amazon リッカートの1961、1967年の著作はもちろん読んでいるけど、この1976年作は放置していたので、この機会にとざっと読んでみた。コンフリクトと…

『経営と勤労意欲』

経営と勤労意欲 (1954年) 作者:レスリスバーガー Amazon 人間関係論の系譜を辿る、ということで。人間関係論ということで言えば、「メイヨー=レスリスバーガー」というふうに一緒くたにされることが多いが、以前に読んだメイヨーとはだいぶ感触が違う。どち…

『カルト・マネジメント 経営学に学ぶブラック企業の作り方』

カルト・マネジメント:経営学に学ぶブラック企業の作り方 作者:柴門 真知 Amazon 話題の本ということで。 経営学を、ブラック企業を作る方法(「働かせてくれてありがとうございます、給料はいりません」という従業員を作り上げる方法)として読んでみた、…

『産業文明における人間問題』

産業文明における人間問題 (1951年) Amazon 人間関係論〜組織開発の学説史をもう一度整理しておこうというので、まずはメイヨーの1933年の作から。この本は大きくは三部構成になっていて、まずは産業(労働者)研究においては生理学のみならず心理学をはじめ…

『問いかける技術 確かな人間関係と優れた組織をつくる』

問いかける技術 ― 確かな人間関係と優れた組織をつくる 作者:エドガー・H・シャイン,金井壽宏 発売日: 2014/11/26 メディア: Kindle版 誰かに何かを質問する、問いかける、というのは私たちが日頃たくさんやっていることだけれど、単に「答え」「情報」を得…

『シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方:プロセス・コンサルテーション技法の用い方』

シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方: プロセス・コンサルテーション技法の用い方 作者:シャイン,エドガー・H.,丈一, 尾川,大雅, 石川 発売日: 2017/04/26 メディア: 単行本(ソフトカバー) キャリアや組織文化に目配せしながらどうプロセス…

『ベンチャー企業経営論』

ベンチャー企業経営論 発売日: 2002/05/01 メディア: 単行本 ベンチャー企業論の大きな見取り図を頭に入れておくために、ざっと読む。

『人本主義企業 変わる経営 変わらぬ原理』

人本主義企業―変わる経営変わらぬ原理 (日本経済新聞出版) 作者:伊丹敬之 発売日: 2019/02/04 メディア: Kindle版 " data-en-clipboard="true">戦後の日本企業を取り巻く状況とそこから生まれた制度(日本的経営)は、試行錯誤のうちに資本主義とは異なる「…

『はじめての経営組織論』

はじめての経営組織論 (有斐閣ストゥディア) 作者:高尾 義明 発売日: 2019/09/30 メディア: 単行本(ソフトカバー) 遅ればせながら読んだ、高尾先生の経営組織論の教科書。組織とは何か、どのような役割を果たしているのかについて、目的手段とか決定前提の…

『掃除と経営 歴史と理論から「効用」を読み解く』

掃除と経営~歴史と理論から「効用」を読み解く~ (光文社新書) 作者:大森 信 発売日: 2016/06/17 メディア: Kindle版 kindle unlimitedで読めたので。効率性・合理性重視のアメリカ流経営(学)に対して、日本流の愚直の経営(学)をもう一度、という本。ま…

『野生化するイノベーション 日本経済「失われた20年」を超える』

野生化するイノベーション: 日本経済「失われた20年」を超える (新潮選書) 作者:清水 洋 発売日: 2019/08/21 メディア: 単行本(ソフトカバー) 経営学をやっておきながらイノベーション研究にはこれまであまり興味をそそられなかったのだが、それはイノベー…

『組織論と行動科学から見た人と組織のマネジメントバイアス』の書評を書いた

組織論と行動科学から見た 人と組織のマネジメントバイアス 作者:曽和利光,伊達洋駆 発売日: 2020/03/28 メディア: 単行本 書評を書きました。ビジネスリサーチラボのウェブサイト上で公開されていますので、ご覧ください。

『経営者の役割』

経営者の役割 (経営名著シリーズ 2) 作者:C.I.バーナード 発売日: 1968/08/01 メディア: 単行本 これも授業準備のために読んだ。まあ、この本の感想というのは到底簡単には書けそうにもないけど、例えば授業の導入として、組織とは一体何かということを大学…

『ホーソン実験の研究 人間尊重的経営の源流を探る』

ホーソン実験の研究 作者:大橋昭一・竹林浩志 著 発売日: 2008/09/02 メディア: ハードカバー 授業の準備のために読んだ。 第一部ではホーソン実験の詳しい経緯について書かれており、第二部ではホーソン実験についての諸研究がレビューされている。とくに第…

『科学的管理法』

|新訳|科学的管理法 作者:フレデリック W.テイラー 発売日: 2009/11/28 メディア: 単行本 授業準備のために読んだ。 テイラーの科学的管理法について,例えばレポート課題なんかで学生さんが調べてみようと思ったらどうするかというと,とりあえず「テイラー…

『イノベーションのジレンマ 増補改訂版』

イノベーションのジレンマ 増補改訂版 (Harvard Business School Press) 作者:クレイトン・クリステンセン 出版社/メーカー: 翔泳社 発売日: 2011/12/20 メディア: 単行本 著者のクリステンセンが最近亡くなったということで、読んだ。あとは、イノベーショ…