読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『ビジョナリーカンパニー』

経営の分野ではベストセラーらしいけど、読んだことがなかったのでざっと読んだ。

めちゃくちゃ優良な企業って結局のところ何が違うの?というシンプルな問いを、それなりに優良な企業と比較したり、その歴史を遡ったりと苦労して調査して、結論はまあふつうのことを言っている(強力な文化があるとか)本なので、労作ではあるだろうけど、内容についてはそんなに言うことはない。

それよりも読んでて思ったのは、こうした「優れた〇〇の本質(なり共通点)を探る」みたいな欲望とは一体なんなのだろうか、 ということ。ビジネス書の定番の問いの立て方だと思うが、これがいまいちわからない。ある特定の優れた企業や人物から学びたいというのはわかるが、わざわざ優れた企業や人々をたくさん並べ立ててその共通点をあぶり出したいという欲望とはなんなのか?

まあたぶんそれは自己啓発ブームのもとで、自己を価値あるものに見せたいという消費者の欲求を効率的に満たす手段を提供する産業動向が増幅する欲望というふうに社会学的には考察できるのだろうけど、あるいは心理学者ならどう考えるのかな、ということも気になった(n数が多い方が一般性が高いからとか言われるとがっかりするが)。

あと、卒論でディズニーの研究をしたいという学生さんがよくいるけど、この本のディズニーの記述を読んだらいいと思った。

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則

ビジョナリー・カンパニー ― 時代を超える生存の原則