読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『宇宙の匂い』

世代的に中学生くらいの時にはブランキー・ジェット・シティというバンドと出会ってしまうわけで、そうすると自分の血の何割かはこの浅井健一という人でできていて、それは中二か中三くらいの細胞に流れ込んだまままだ抜け切れちゃいないのである。ということでこの詩集を読むのであるが、歌詞だけでなく短編小説と日記も収録されている。短編小説の方は、風がほどほどに冷たくて日の当たってる場所は暖かな日に、単車乗りがスーパーマーケットに買い物に行くという、ブランキーとかの歌詞そのまんまの話で、いかにもベンジーという感じ。で、日記の方なのであるが、中学生の頃にブランキーと出会ったりすると、どうしてもベンジーをアイドル視してしまうところがあって、なんだか宇宙人のような人だと思っていたのだけれど、こうして日記を読むと、いつもそんなに大したことばっかり言っているわけでもないし、ライブの時に緊張して声が裏返ったりもするし、外国が苦手だったり、子供の頃は冒険好きだったのにもう30年近くも冒険していなかったり、何年も前から同じことばっかり言ってるような気になったり…というように、ベンジーもまたごく普通の人なのであって、そういうところが読んでて嬉しかった。宇宙の匂いというのは、金木犀の匂いに似ているらしい。