読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』

本書は、釣りを見破るための技術を記すものだ、ということで、その目的としては、ひとつは、「釣りに騙されないようにしましょう」という「教育」的なものらしいのだが、それ以上に著者は、「釣りをもっと楽しもう」ということが言いたいらしく、「釣りは、釣られると負け、見破ると勝ち」というスポーツであり、エンターテイメントだと言う。

なるほどそれはおもしろそうだ、ということで読んでいくと、釣り師のタイポロジーとか、釣りを見破る技術があれこれ議論されていくのだが、なーんかどうも議論が「釣りを楽しもう」というトーンからだんだん遠ざかり、「釣りに騙されないように」という「教育」的な感じになっていってしまう。最後の方とか、「デマに騙されないために」という話をしだして、釣りとデマは違う、釣りは楽しいスポーツだが、デマ退治は人の役に立つよい行為だ、みたいなおもいきり「教育」的な議論になる。

あとがきなんかもうかなり弱気になっており、ネットの文章をすべて釣りだと思ってしまう「すべては釣り病」に気をつけようとか、「自分も釣り師になろう」というのはあまりお勧めしない、とか。まあそれはそれで正しい忠告なのだろうけど、当初の意気込みに反して、いまいち釣りの楽しさが伝わってこなかった。

第一、タイトルの「釣り師が人々をとりこにするこんなに凄い手口」って、一体どんなのだろうとすごく楽しみにしてたのだけど、ほとんど触れられてないし。