前に観たのがたしか2013年の2月5日(@なんばHatch)ということで,丸々13年ぶりに観てきたマイ・ブラッディ・ヴァレンタイン。
2013年に観た時があまりにも素晴らしすぎて,もうあれを超える感動はないだろうと今回はあまり期待せずに観に行ったところ,思いのほか悪くなかった。
前回はケヴィン・シールズの真ん前に陣取ったこともあり,ほとんどギターしか聴こえなかった(そしてそれが最高だった)のだが,まあその点で前回は,ケヴィン・シールズという一人のミュージシャン/ギタリストの天才を十二分に体感するような経験だった(To Here Knows Whenのギターの音の美しさは感涙ものだったし,Soonのギターリフも素晴らしい音だった)。一方,今回はわりと全体の出音のバランスがよく,ボーカルもふつうに聴こえたし,バスドラなんか2階の最後列で聴いていても内蔵を揺らすほどの音圧で,まあバンドとしてマイブラを観たという感じだった。
それでバンドとしてライブを観ると,マイブラというバンドには不安定なところが多々あるのだが,それはまあ彼らの持ち味のようなもので,グダったかと思えば突然よくなったりと情勢が目まぐるしく変わるのも一興というところ。そもそもマイブラの魅力といえば,リバーブの効いた歪みギターに男女ユニゾンの甘美なコーラスといういわゆるドリーム・ポップ的なエモさももちろんあるわけだけど,私にとっては,奇妙なコード進行に不気味さすら感じさせる歌メロ,変拍子と言うにはあまりにいびつな拍の数え方といった異形の怪物的なところこそがマイブラの魅力なのである(それは例えばライドとかスロウダイヴといった他のシューゲイズバンドとは決定的に違う,マイブラの特異な点である)。だから安心して観ていられるようなライブだとおもしろくなくて,今回のライブはバンドとしてのマイブラのマイブラっぽさがちゃんと発揮されていた。というか,そのようにしか演奏できないのがマイブラというバンドなのだと思う。
それでYou Made Me Realiseの例のノイズパートである。前回同様に今回もここが一番感動的だったのだが,いかんせん4〜5分くらいで終わってしまって,前回は10分以上はあったように思うので,ちょっと物足りなさを感じた。音量的には,いろいろと心配になってくるくらいの大きさではあった。
ということで,13年前の神懸かり的なライブ(というかケヴィン・シールズのギタープレイ)には到底及ばなかったが,悪くないライブだった。最後に一つ言っておきたいのは,たぶんもう60歳を過ぎていると思うが,ドラムは相変わらずパンクだったということである。




