読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『「能力」の生きづらさをほぐす』

よい本です。著者は教育社会学を学んだ組織開発コンサルタントの方だということで,ハイパーメリトクラシーとか人材開発業界(能力屋)とかの問題点を指摘した上で,個人の能力ではなくて,組織内での機能という観点で人材の配置を考えましょう,という組織論的な解決策も示してくれる,こんなふうに,組織開発というのは人材開発とは違うのだということもわかりやすく書いてくれる,ということで,組織論的な考え方の習得にも役立つので,学生におすすめしようと思った本だった。

個人的には,ヘイ・グループかどっかがやっているという組織風土改革の売り文句が,風土は組織の内部者には十分に把握できません(外部者の客観的視点が必要です)とか,風土はリーダーシップによって決まりますとか,もう身に覚えがありすぎて,改めてよくできた物語であるなと感心するなど。