中年男性の主人公が、列車で向かいの席に座った美女の後をホイホイ追いかけているうちに「女の都」に迷い込んでしまうという話で、女ばかりの中に男が一人、それは天国か地獄か、ということで言えばこの作品はわりと地獄の方。まあ、いい歳してスケベ心丸出しのおじさんが悪いと言えば悪いのだけれど、なんというか、もちろん単なるすけべオヤジざまあみろ的な話ではなくて、男性が女性に対して抱く欲望とか恐怖とか都合のいい幻想とかがこれでもかというほど描かれていて、男性としてはどうにもいたたまれないような気持ちになってくる。フェリーニの晩年の作品ということらしいが、年の功なのかどうかはわからないけど、よくぞここまで吐露できたなあと感心。で、ニーノ・ロータの没後の作品ということなのだが、音楽はわりかしニーノ・ロータ風。