読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『シャイン博士が語る組織開発と人的資源管理の進め方:プロセス・コンサルテーション技法の用い方』

キャリアや組織文化に目配せしながらどうプロセス・コンサルテーションをしていけばいいのかということが、簡単な実例(シャイン自身の実践例)とともに簡潔にまとめられている本。

経営学者(とかコンサルタント)というと、どうもあらゆる経営上の問題に対して有効な解答を持っている人のように思われがちで、実際授業なんかでも〇〇理論という形でいかにも「有効解答」風のことを教えるのだけれど、正直人間とか組織の抱える個々の問題なんてのは千差万別なわけで、そこをすっ飛ばしてあらゆる問題に当てはまるような解答を言えと言われたら、そりゃあ誰でも言うような当たり前の一般論を言うしかないよなあ(で、案の定、失望されるよなあ)……というところでこのプロコンなのである。個々人のキャリア・アンカーとか組織の文化の違いを考慮しないと、有効な解決策などはどうとも言えないわけで、そこで、コンサルタントは一方的に解決策を示すのではなく、クライアントが自ら問題を解決していくそのプロセスこそを支援することになる。

昔コンサルの人と話した時に、その人はコンサルの仕事を「当たり前のことを言うこと」というふうに定式化していて、つい「なんでそんな仕事をやってるんですか?」みたいな思い切り失礼な質問をしちゃったところ、「当たり前のことが、多くの企業はできていないからだよ」と言っていて、ふうんと思って聞いていたのを思い出したり。