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I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『ルールリテラシー 共働のための技術』

私たちが日々従事している、仕事、勉強、スポーツ、授業、会議、何気ないおしゃべり、バンド活動、家族での団欒、組織の変革、銀行強盗、詐欺、恋愛、いじめ、解釈改憲、等々…といったあらゆる「ゲーム」の基盤をなす「ルール」というものについて、それがいったい何であるのかをよく理解し、私たちの協働(「ゲーム」の共有)を可能にするためのルール運用の技術(ルールリテラシー)について考えるという本。

したがって、この本で書かれているルールリテラシーとは、「ルールは守りましょう」とかいう話ではなく、「善きルールとは何か」みたいな道徳的な話に関わるものでもない。本書では、端的にルールというものの論理的な形式にのみ着目し、ルールをうまく維持したり、違反者にうまく対応したり、あるいは自分がルールをうまく破ったり、といったように、ルールをうまく「使う」ための技術としてのルールリテラシーが考察されることになる。 

という意味で、著者は社会学者らしいが(理論的バックグラウンドはウィトゲンシュタイン言語ゲームらしい)、優れて経営学的でもある本。

余談になるが、私たちの日常を「ゲーム」として考察するというのは、現実をある種のフィクション的なものとして眺めてみて、それを成立させる各種ストラテジーに注目するということで、経営学には馴染みがよいし、明らかにゲームが作品自体のモチーフになっているHUNTER×HUNTERとか好きな人にはとても興味をそそると思う。三段論法的に言えば、HUNTER×HUNTERはほとんど経営学でもあるということになるが、もはや何の話をしているか自分でもわからなくなってきたし、つまるところ、こういうゲーマー的視点で卒論を書いてくれるゼミ生がいなくて悲しいというお話。

ルールリテラシー 共働のための技術

ルールリテラシー 共働のための技術