読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

Mann & Likert(1952)The Need for Research on the Communication of Research Results

https://www.jstor.org/stable/44124252

マン&リッカートのいわゆるサーベイフィードバック論文。ただ読んでみたら、ここでは「サーベイフィードバック」という名前は登場していないのね。一体誰が言い出したのやら…。

測定という技術によって、「態度」や「感情」といった知識の元に人々の活動を組織化するということを試みたリッカートであるが、肝心の測定結果を組織に返すときに、ふつうに返すだけでは「ふーん」でそのうち忘れ去られて終わりになる。だから、いかに組織のメンバーに測定結果を活用してもらい、組織の変化を導くか、そのテクニックについて論じる(とともに、さらなる研究を呼びかける)という論文。それで、それらのテクニックには、動機づけ理論とか集団力学が応用されるとのこと。基本原則は、データの「解釈」にメンバーを参加させることであり、研究者は調査はするけれど、解釈の専門家であってはならないとか。それで、そうした解釈もやはりグループ討議方式で行われるべきで、そうするとグループの合意が集団規範としてメンバーに遵守に向けたプレッシャーを与えるので、それを活用するのだよ、と。あとは、調査結果は「客観的事実」ということなのだが、それが望ましくないものであった場合には、その正確性をあまりに強調しすぎるとメンバーたちの面目を失わせたりするので、そういう時はまず本人たちの面目を保つほうが先決である、とか書かれているのもおもしろい。この辺はリッカートの主著ではほとんど書かれていなかったことで(確かこの点をテーマにした本を書くとか宣言していたはずだが、結局書かれなかったようである)、主著だけだとリッカート理解にも若干偏りが生まれてしまうので、合わせて読んでおいてよかった。