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I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『ア・ゴースト・ストーリー』

以前に見た『老人と銃』(https://tsk1024.hatenablog.com/entry/2021/01/25/114441)のデヴィッド・ロウリー監督作品。『ある幽霊の物語』ということで、ジャケ写にもあるシーツを頭から被ったお化けが主役を務めることになる。そんなわけで、絵的にシュールでユーモラスな箇所がところどころあったりもするのだけれど、話の筋書き自体はむしろ静かにシリアスに進んでいく。全編を通してカメラアングルがばっちり決まっている。どのシーンを切り出しても写真作品のようである。音楽も印象的なものが多く、不気味さと切なさを引き立てる。しかしまあ、テレビ番組などを見ていると、幽霊というのは大抵サービス精神旺盛というかでしゃばりというか、とにかく人を怖がらせたり驚かせたりすることを生きがい(すでに死んでいるので生きがいというのも変だが)にしているようにわれわれ生者には思えてならないのだが、この映画を見て、幽霊というのはたまには悪さもするようであるが、基本的には何もできず、ひたすらじっと待ち続けることしかできないのだということを知った。で、ひたすら待ち続けて、もはやそれが誰であるかも思い出せないほど待ちわびた人物が「もう来ないみたい」というのは、やっぱり悲しいのである。