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『桐島、部活やめるってよ』

3本目はこれ、やっと見た『桐島、部活やめるってよ』。

桐島という「主人公」が突然部活をやめてさえいなければ、あるいは、ちゃんと学校に来てその理由を釈明してさえいれば、桐島の取り巻きやその彼女たち、そして、バレー部の奴らも、なんの問題もなく学園モノ・青春映画のメイン・キャラクターとして、堂々と青春していられたはずなのだ。山本美月なんかとくにかわいそうで、主人公の彼女というヒロインの立場を与えられていたはずなのに、肝心の桐島が一向姿を現さないばかりに面目丸つぶれ、踏んだり蹴ったりで挙げ句の果てにはパッとしないゾンビどもに食われる羽目にもなる。しかも、そうした「死」ですら本来自分より格下の登場人物であったはずの橋本愛の前座に過ぎないということで、橋本愛にヒロインの座までもが食われてしまうのである。バレー部の連中も、エースの桐島さえいればチーム一丸となって青春していられたはずなのに、それができずに始終苛立っている。このように、桐島がいなければ青春映画としての秩序が保てなくなるので、みんな血眼になって桐島を探し求めるのだが、そもそも青春映画とは違う世界線に生きており、桐島をめぐるドタバタなど知ったこっちゃない神木隆之介と映画部の面々は、タランティーノやらロメロやら、ただひたすらオタクをし続け、その結果、なんだかよくわからないうちに青春映画の一員である東出昌大を感化してしまう。そうして東出昌大は、最終的に主人公にも似た立ち位置をかっさらっていくことになる。…という話で、面白かった。あと、東出昌大の彼女がとにかくムカつく女で、女優さんもうまく演じているなあと思って見ていたら、見ている最中は全く気づかなかったのだが、松岡茉優だったらしい。