読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『コミュニケーション・スタディーズ アイデンティティとフェイスからみた景色』

インスタ映えとか就活の面接とか、他者に向けて私をどのように見せるかという観点から日常のコミュニケーションを取り上げて卒論を書く学生が毎年うちのゼミにはいて、いつもそういう学生にどの文献を紹介すればいいかで悩んでいて、で、本屋でこういう本を見かけたということで、買ってざっと読んでみた。SNSとかダイバーシティとか、昨今重要ないろんなトピックに目配せしながら書いてあり、もちろん、アイデンティティとかフェイスについても丁寧に解説されているので、学生に読ませるまとまった教材としてはこれでいいかなあと思う反面、「主体的な自分」とか「自分らしさ」とか「コミュニケーション能力」の存在を前提として議論が進められており、むしろこの辺の概念を問い直すことに面白さと重要性を感じる自分的には、物足りなさを感じたりもする。