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I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール』、素晴らしくおもしろい

ビジネスリサーチラボの伊達洋駆さんにご恵贈頂いた本、素晴らしくおもしろくて一気に読んでしまった。 

「求職者目線」で採用の新常識を打ち立てていくということで、言われてみれば「顧客視点」はよく聞くのに、人的資源の争奪戦である採用において「求職者目線」という言葉をあまり聞かないのはたしかに不思議であるし、求職者目線に移行することで、企業と求職者のwin-winを達成すべく、採用活動により戦略・戦術的なアプローチが導入されるというのも興味深い。

本書の貢献点としては、言うまでもなく採用についての様々なノウハウ、アプローチ方法を具体的に提示する点にあるのだけれど、より大きな功績としては、採用という仕事を、かつてないほど楽しく魅力的なものとして描き出していることだと思う。この点で、本書はぜひ学生さんにも読んでほしいと思うし、自社・求職者・社会の三者にとって「三方よしの採用」に向けて工夫を積み重ねていくことこそが「採用のプロフェッショナル」としての専門性である、というメッセージは感動的。

学生さんにとってもうちょっとプラクティカルな話もしておくと、本書の枠組みに基づき(p. 50~)、自分の内定先の採用サイトを他社のそれと比較したりしてその改善点を検討する、という卒論なんか、とてもよいんじゃないかと思う(ぜひとも内定先に提出しましょう)。

最後に、本書はビジネス書ということになるのだろうけど、内容は優れて経営学的で、今昔の多岐に渡る経営学のアイデアが採用活動の分析・改善のために縦横無尽に活用される様子はなんとも興奮せずにはいられないし(気づいたものをざっとリストするだけでも、選択と集中、ナラティヴ・アプローチ、撞着語法、満足化原理に基づく意思決定、アクション・サイエンス、プロセス・コンサルテーション、果てはテイラーの科学的管理法まで)、学生さんはこういうところにも注目しましょう。

「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール

「最高の人材」が入社する採用の絶対ルール