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『メイキング・オブ・勉強の哲学』

メイキング・オブ・勉強の哲学

メイキング・オブ・勉強の哲学

 

常日頃から舞台裏というものは覗けるものなら覗いておきたいと思っているような人間であるので、以前に読んだ『勉強の哲学』のメイキング本が出ているということで、買ってみた。

『勉強の哲学』がどのように作られたかということが書かれていて、まあ紆余曲折を経てできあがったということなんだけど、自分も論文を書く仕事をしているので、あー、わかるわかる、という感じでしみじみ読めてしまった。アイデアは諦めることも大事とか、瑣末な部分に没頭して必要以上に丁寧に書こうとしてしまう「タコ取り」状態に気をつけようとか、ノートには「ここで行き詰った!」みたいな自分の心理状態も記録しておこうとか、困ったら誰かに電話することが思考の整理になりますよとか、わざとでも区切りを設けること、とにかく区切って何かを終えることが大切だとか、ほんとあるあるという感じなのである。

で、この区切るということは、情報の氾濫と絶えざる相対化の中で生きる私たちが何かをする時には「とりあえずここまで」という区切りが必要だということで、これが著者の議論の軸である「有限化」に関わっているのだけど、この有限化をどのように行うか問題が、結構、悩みどころ。というのも、どのように有限化するかというのは、根拠がないわけで、そこで何か(誰か)に身を任せる「決断」となるわけだが、著者が言うにはそうじゃなくて、あくまで「中断」、区切りは「仮固定」しておくことがいいんだと。

あと、この本の中で、文章を書く際のアウトライナーとしてWorkFlowyが紹介されていて、そういえば昔にこれ使ってみようと思ったことを忘れていたなあと。で、実際使ってみたところ、箇条書きにした項目がツリー構造のなかで階層を超えて自由に移動できるし、小項目を非表示にすれば一挙に全体が見渡せるようになったりするし、何より、不要な部分が削りやすい(なんだか削ろうという気になってくる)というのがすばらしく、そうして書きあがったのが、この記事なのである。