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I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『日本の経営』

1965年の著作。内容的にも、経営の近代化・民主化(=従業員参画型経営の実現)に向けた提言の書ということで、新人間関係論とかなりオーバーラップする。で、仮想敵は、やはり、と言うべきか、ヒューマン・リレーションズ。ただし、メイヨーやレスリスバーガーらによる本来のそれというよりも、甘言を弄した人間操縦・懐柔的ないわゆる「ヒューマン・リレーションズ」——それは日本におけるヒューマン・リレーションズの一般的な受容のされ方でもあった——が槍玉に挙げられる。こうした欺瞞的な経営ではなく、真の民主主義的経営を実現する、ということで、まさにリッカートやアージリスにも通じるような、明快で勢いある議論が本書を一貫する。まあ、労働組合にも目配せして書いているところなどは、行動科学の人たちとはちょっと違う。