読んだもの観たもの

I'm not a very good communicator, so maybe that's why I write about talking

『君たちはどう生きるか』

宮崎駿がもう一度長編映画を作っていたなんて、ぜんぜん知らなかった。先週あたりにTwitterを開いてみれば新作が公開されたよとあって、ちょうど春学期もほぼ終わりで少々時間も取れるようになってきたタイミングだったので、映画館に行って見てきた。

今回は宣伝活動をしない方針らしいので、あまりネタばらしになるようなことを書くのはよくないかもしれないのだが、内容としてはまあ、初見ではほとんどの人の頭の上にクエスチョンマークが浮かぶことだろう。それも、全体的にいつになく不気味さ、不快さが強調されているので、後ろの席に座ってた子供なんかは始終怯えながら見る羽目にもなっていた。まあそれでも、小難しいことは考えずとも、いつものジブリ的なアニメーション(特に今回は過去作からのセルフパロディがいくつもあった)と久石譲の(ひょっとすると最高傑作と言ってしまってもいいかもしれない)音楽だけで十分に「よかったね」という満足は得られる仕上がりにはなっている。

見た感想としては、宮崎駿が「宮崎駿(とスタジオジブリ)」を終わらせるということで、シン・エヴァっぽいメタフィクション的雰囲気があるなあというのがまずひとつ。あとは、「君たちはどう生きるか」という問いかけに関しては、この現代の流通システムのもとで普通に食べて暮らしている限りわれわれは、「生物」にナイフを突き刺してその肉や臓物を裂いたりする機会はあまりないわけで、そうした生の剥奪、解体作業を他者に代行してもらっていること、そしてそもそも誕生し生きるということが無数の死の上に成り立っているということを忘れ去っていたりするので、そのあたりが問われているのかなぁというのは、まあ自分の頭でもパッと見て思いつくところ。

で、他にも見ていて、おや?と引っかかったところはいくつかあったのだが、続きを見ているうちにすっかり意識から漏れてしまっていたところ、そのへんを見逃さずにきっちり考察できている人はすごいなぁということで、私が読んで面白かった考察がこちらの作家さんのもの。やっぱりあの継母は異例の色っぽさだったのだ。